Subject: [janl.387] 【JANL メールマガジン 2002/03/09 】 Date: Sat, 09 Mar 2002 10:47:39 +0900 JANLメールマガジン ================================== 2002/03/09 配信解除希望はこちらへ  janl-staff@cs.kutc.kansai-u.ac.jp -------------------------------------------------------------------- □ 目次 [JANLスクランブル] ● 情報世紀の道具   (江澤義典・関西大学) [JANL役員から] ● e−ラーニングに関する講演会の報告と情報倫理について (工藤英男・奈良工業高等専門学校) ==================================================================== ● 情報世紀の道具   (江澤義典・関西大学) 情報通信技術の発展を支えている理論的基盤が, 故 Claude Shannon 博士の 業績と密接に関係していることを前回の本欄で紹介した. 国立科学博物館で昨年3月から6月まで開催された, 「情報世紀」の主役た ち, という企画展示を紹介したい. 同館の Web site によると, 「遠くにいる人と、自由に話がしたい。遠くの物を、手に取るように見て みたい。これは、遠い昔からの人類の夢でした。そして、この夢の実現の ために惜しみない努力を続けた人々がいます。私たちが電話をかけ、テレ ビを楽しみ、コンピュータを使う、そんないまでは当たり前のことも、ひ とつひとつの技術の積み重ねから生れたもの。この展示では、情報技術を より身近に感じていただけるよう、音声や画像の通信、情報処理の進化を 示すさまざまな機器を紹介します。」 http://www.kahaku.go.jp/special/past/jyoho/ との企画説明がある. ここ数年の, 携帯電話や携帯情報機器の技術革新は目覚ましいものであるが, 世界初の実用無線電話が国産技術だったとの紹介には感心した. (TYK式無線電話機:1914年に伊勢湾で離島間通信に使用) また, 画像を送る装置として, 明治初期のファクシミリや昭和初期のテレビ ジョン(早稲田式、高柳式など)の写真が紹介されているのも魅力である. そして, コンピュータにおける演算素子と記憶素子の発明・発展の様子が簡 潔に紹介されている. これらの新しい道具を手にして, 従来からの情報倫理には、新しい面からの 対応を工夫する必要が生じたと考えられる. つまり, (1)音声による通信技術からは「音声通信の倫理」 (2)画像の通信技術からは「画像通信の倫理」 (3)動画の通信技術からは「動画通信の倫理」 などが課題になった. さらに, 情報通信技術が情報処理の道具にまで発展した結果, (4)コンピュータによる情報処理技術から「コンピュータ倫理」 が課題になってきた. 今後は, 電子商取引(e−コマース)が普及するに従って, 暗号技術を活用 する工夫が課題になる. http://www.kahaku.go.jp/special/past/jyoho/ipix/3/4/10.html 現代暗号の研究成果として, 暗号方式を秘密にせず, 暗号化に利用する「鍵」 だけを秘密にすることが, 暗号の安全性を実現する上で必須である点が、大 変、示唆に富んでいる. -------------------------------------------------------------------- [JANL役員から] ● e−ラーニングに関する講演会の報告と情報倫理について (工藤英男・奈良工業高等専門学校)  さる1月26日(土)に教育システム情報学会関西支部の大学・高等教育 機関の部による主催で「e−ラーニングに関する講演と企業展示」がキャン パスプラザ京都にて開催され、160名(内学生85名)を超える参加者で盛会 であった。 http://www.sonoda-u.ac.jp/jsise-w/2001n/020126.html  基調講演は、帝塚山大学の中嶋航一先生による「知のコミュニティと市場 の構築を目指して」の演題であった。中嶋先生は帝塚山インターネット教育 (TIES:タイズ)のプロジェクトリーダであり、全国の大学や一般の人たち にTIESの広報活動をされている。 http://ties.ne.jp/ 講演内容は、教育業績に関する客観的評価の必要性、大学教員の教育能力の 向上の必要性、大学教育の現状認識とTIESのビジョン、TIESの設計思想と機 能について述べられ、実際にTIESデモ実演し、TIESコミュニティ参加のお願 いであった。最後に、「異なる大学の教職員が参加するような<知のインフ ラと市場>の構築はできるのだろうか?」との問いかけがあった。  一般講演は、「大学コンソーシアム京都」において遠隔講義研究会の委員 長をされている同志社大学の宮崎耕先生による「ユビキタス時代の教育サー ビス」の演題であった。時代背景として、バーチャルサービスの開始(平成 10年文部省省令第11号にて、当該授業を行う教室以外の場所で履修させるこ とができる)、バーチャルサービスのリアル化(平成11年文部省省令第19 号)、ユビキタスサービスの開始(平成13年文部科学省省令第51号)を根拠 に話された。具体的な事例として、宮崎耕先生のオンデマンド型インターネ ット授業を紹介された。最後に、教育サービスにおけるIT革命が進行してい るとの見方を示された。 http://www1.doshisha.ac.jp/~e-learn/ また、教育システム情報学会の事務局長をされている、園田学園女子大学の 山本恒先生が、「そのだインターネットキャンパス―全体像と目指すもの・ その問題点―」の演題で講演された。 http://www.sonoda-u.ac.jp/iu/ius2/index.html インターネットによる遠隔教育を実践されている先進的な経験を元に「共に 学ぶ」の視点から分析された受講生の意識調査結果を紹介された。  企業講演は4件の講演があったが、紙面の都合で情報倫理に関する話題に ついて報告する。日本データパシフィックの吉田覚氏の「e-Learning シス テム“NetTutor”を使った情報倫理教材についての学校ユーザー様からの評 価結果」の講演では、野村総合研究所で開発した自己学習型のWeb利用教育 システム(WBT)についての学校での評価報告があった。 この情報倫理教材 INFOSS は、ネットワーク社会の利便性を享受するために知っておくべき基 礎知識、マナー、法律をカバーをしたもので、実用性に重点を置いている。 大学等での導入実績は約50校とのことである。情報倫理教材の内容は、第1 章:ネットワーク社会、第2章:ユーザーID・パスワード、第3章:電子 メール・掲示板・チャット、第4章:電子商取引、第5章:情報発信とブラ ウザ、第6章:著作権、第7章:ネットワークセキュリティから構成されて いる。  今回は多くの学生も聴講しており、少し用語が難解だったかもしれないが、 全体的にはとても好評だった。 -------------------------------------------------------------------- [編集後記] 読者の皆さまからのご指摘や投稿をお待ちしています.新しい記事の投稿や 今回の記事に対する批判・コメントなど大歓迎です.(義) ==================================================================== [JANLメールマガジン] バックナンバーの閲覧は、以下のサイトからご自身でお願いします。 http://www.janl.net/magazine/ 編集:JANL 運営委員会 発行:日本情報倫理協会事務局 (〒569-1095 高槻市霊仙寺町2−1−1 関西大学総合情報学部 江澤研究室内) 情報倫理に関するご意見や転載を希望する場合はJANL事務局にご連絡下さい。 MM配信解除の希望もこちらへ  janl-staff@cs.kutc.kansai-u.ac.jp