To: Subject: [janl.376] 【JANLメールマガジン】創刊!! Date: Sat, 1 Sep 2001 00:00:39 +0900 JANLメールマガジン ================================== 2001/09/01 配信解除希望はこちらへ  janl-staff@cs.kutc.kansai-u.ac.jp ☆★☆ JANLメールマガジン, 創刊! ☆★☆ -------------------------------------------------------------------- □ 目次 [JANLスクランブル] ● IT革命のスピード   (江澤義典・関西大学/日本情報倫理協会会長) [JANL役員から] ● 情報倫理の好著 "A Gift of Fire" の著者にお会いして(前編)   (田中規久雄・大阪大学大学院) [JANLの動き] ● 情報教育シンポジウムSSS2001に協賛(01/08/21-23)   (中條道雄・関西学院大学) ==================================================================== [JANLスクランブル] ● IT革命のスピード 関西大学の江澤義典です. JANLは活動を停止していたのかとの問い合わせが届いていました.そこで「ス クランブル」です.別にあらためて何かを「かき回す」訳ではありません. JANLが発足して5年目になりますが,その間に続けてきた活動情報などを「かき 集める」目的で,このたび メールマガジン形式で多くの方々と議論していくこと になりました. 新世紀に入り,IT革命が進行中です.日本政府の重点施策にもIT戦略が採り 上げられています.しかし,IT革命とはパソコンやインターネットを使うことだけ でしょうか?人類史上には様々なIT革命があったことを振り返ってみました. 第0次の革命(革命以前のITとして有効であったもの)は「言葉(音声言語)の 発明」であり,今から4万年以前に「子音」を獲得したのが最初であろうと考え られます.音声言語を使うことで多様な表現が可能になった為に個々人の 経験が様々な言葉で伝達され,色々な集団社会における情報共有が可能に なったと思われます. 第1次のIT革命は「文字の発明」といえ,それは紀元前6千年程のことでした. 文字で記録する方法を発明した民族の文化は広範囲に伝達され,永く伝承 されたのです.言葉による伝承に比べて文字による記録の時間不変性は 画期的であったと思われます. 第2次のIT革命は「印刷術の発明」で,今から約2000年ほど前の時代(中国・ 後漢)です.紙に活字を使って印刷する技術の発明により,データ記録の 確実性は印刷物である「本」や「雑誌」さらには「新聞」などの印刷メディア 産業の起源になったと思われます. 第3次のIT革命は「電気通信技術の発明」であり,19世紀の中頃です.ラジオ やテレビなどの情報メディア産業がうまれました. 現代のコンピュータを応用したインターネット時代は第4次のIT革命が進行して いる途中であると考えられます. このように考えるとIT革命が生起する間隔がその度に約10分の1に短縮されて きている点が興味深く感じられます. -------------------------------------------------------------------- [JANL役員から] ● 情報倫理の好著 "A Gift of Fire" の著者にお会いして(前編)    (田中規久雄・大阪大学大学院) "fire"という単語はもちろん「火」という意味であり、派生して「火災」・「試練」 ・「火あぶりの刑」・「砲撃」・「解雇」といったあまりうれしくない意味と、「輝 き」・「情熱」とかいった、まあよい意味で使われる場合とがある。 わが国においても斯界の専門家に好評なコンピュータ倫理の好著、"A Gift of Fire"(Prentice Hall, 1997)の著者Sara Baaseは、カリフォルニア州立大学 サンディエゴ校理学部(College of Sciences, San Diego State University)*1 の名誉教授(Emeritus Professor)である。お名前は、サラ・バーズと読むそう である。 この7月末機会を得て、このSara先生にお会いすることができた。 カリフォルニア州立大学には2つのシステムがある。ひとつがUniversity of Californiaシステムで、バークレー校(U.C.B.)とか、L.A.校(U.C.L.A)などが ある。もうひとつがCalifornia State Universityで、サンフランシスコ校とか サンディエゴ校とかがある。前者はいわゆる研究中心大学、後者が原則として 修士課程までのいわゆる教育中心大学として設定されている。たとえば、 後者のサンフランシスコ校にはスペイン語、中国語、日本語ネイティブの 修学相談員がいる。前者が英語のできない人を相手にしていないのと大違い である。そして結論的に言えば、本書は、この学生の顔を見ることが仕事である 教育中心大学のシステムにおいてこそ生まれた好著であるといえよう。その 意味では,大学審関係の会議で出た「研究者養成中心の大学、高度専門 職業人養成中心の大学、生涯学習を中心とした大学」*2という大学の機能 分化を提案する声も大切なのかもしれない。 そしてSara先生はこの数学・電子計算機科学科の名誉教授という訳であり、 そもそもの研究・教育分野もアルゴリズム論で、共著で書かれたComputer Algorithms: Introduction to Design and Analysis (3rd edition) は、世界 数ヶ国語に訳され大学の教科書として広く使われているそうである。 Sara先生自身もU.C.B.の数学科出身なので、実はそうした方がなぜ、 "A Gift of Fire - Social, Legal, and Ethical Issues in Computing"という著を ものされたのか、私には大変な謎であった。 ところで数学・計算機科学科の計算機科学部門の学部カリキュラムは以下の とおりである(たぶん2000年版*3、秋学期のみかも?)。 205: Introduction to Computational Programming & Visualization 310: Data Structures and Algorithms 320: Programming Languages 440: Social, Legal, and Ethical Issues in Computing 490-2: Senior Seminar, 490-5: Senior Seminar 496: The Tcl and Tk Toolkit and Graphical Interface Programming 計算機倫理は440となっているので、Senior科目なのであろう。2001年度の 担当者は、Alan Riggins氏となっているが、教科書は"A Gift of Fire"であり、 "Much of the material in the course was developed by Professor Sara Baase." と書いてある*4。修士課程にはこうした科目はない。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ [注] *1 http://www.sci.sdsu.edu/cos/sitemap.html *2 「大学審議会マルチメディア教育部会(第10回議事要旨)」平成10年4月17日   ( http://www.monbu.go.jp/singi/daigaku/00000246/ )。 *3 http://www.sci.sdsu.edu/classes/ *4 http://www-rohan.sdsu.edu/course/cs440/cs440.html -------------------------------------------------------------------- [JANLの動き] ● 情報教育シンポジウムSSS2001に協賛(01/08/21-23)   (中條道雄・関西学院大学) 情報処理学会の「コンピュータと教育研究会」が主催する「情報教育シンポ ジウム」が8月21日から23日まで3日間にわたって長野県の上山田村で行 われました。本年のメインテーマは「深化する情報教育」でしたが、情報倫 理教育についてもナイトセッションも含めて活発な討議がなされました。 セッションのプログラムや電子掲示板の記録は http://www.tbgu.ac.jp/cstt/kami/sss2001/ で見ることが出来ます。 -------------------------------------------------------------------- [編集後記] 日本情報倫理協会から月刊のメールマガジンをお届けします.マガジンの体裁 などは小泉内閣メールマガジンを参考にしていますが,試行的に改善していきたい と考えています.当面はJANL運営委員による原稿をネタに編集していく予定ですが, 読者の皆さまからのご指摘や投稿をお待ちしています.新しい記事の投稿や今回の 記事に対する批判・コメントなど大歓迎です.(義) ==================================================================== [JANLメールマガジン] バックナンバーの閲覧は、以下のホームページからご自身でお願いします。 http://www.janl.net/magazine/ 編集:JANL 運営委員会 発行:日本情報倫理協会事務局 (〒569-1095 高槻市霊仙寺町2−1−1関西大学総合情報学部江澤研究室内) 情報倫理に関するご意見や転載を希望する場合はJANL事務局にご連絡下さい。 ML配信解除の希望もこちらへ janl-staff@cs.kutc.kansai-u.ac.jp